神戸新聞 2008年11月1日(土)

 

森を育てる「オブジェ」
旬景ナビ 今時のひょうご
獣害防止筒(丹波市)

 そびえ立つヒノキの成木に覆われた丹波市青垣町の山のふもと。足を踏み入れた一角に、不思議な光景が広がる。半透明の突起物が数カ所ごとに整然と“林立”している。
 突起物は植栽した苗木をシカの食害などから守る「獣害防止筒」。直径約12センチメートル、高さが約1.4メートルのポリプロピレン製の六角柱で、樹木の成長を見込んで約2メートル間隔に置かれている。農山村地域でも近年、環境の変化で生息数が減り希少種となる動植物が増える一方で、シカは生息数が拡大し農林業の被害をもたらすようになっている。
 今年8月、兵庫県内でもシカ被害が多い丹波地域を管轄する県柏原農林振興事務所(同市)で、災害に強い防災林育成のため根の張りが良い広葉樹のコナラを植栽。150本の苗木には筒が取り付けられた。林業が盛んな地域とあって、同事務所では7年前から毎年設置を続けており、「シカ対策の効果が出ている上、育ちが早い。」と目を見張る。
 約10年後−。苗木が葉を茂らせ、幹が太くなるほどに成長すると筒が取り外される。その日まで森のオブジェのような筒群が、若い木々の命を守り育てる。(写真部・大森 武)